ゲームをプレイしながら闻く特殊な音楽体験を考える
音源チップでの音作りからホラーゲーム叠骋惭、音响の分类まで、これまでさまざまな「ゲームオーディオ研究」が行われてきました。
バラバラに蓄积されてきた研究ですが、近年ディシプリンとしての制度が整いつつあります。
その研究の流れや、日本での取り组みについて山上扬平先生が绍介します。
「ゲームオーディオ研究」の立ち上げ
教养学部特任讲师
YAMAKAMI Yohei
私が研究するゲーム音楽は、近年形成されつつある新しい学问分野です。确立した名称はまだありませんが、「游び」の聴覚的侧面、音响、音楽まで広く含めて、私は「ゲームオーディオ研究」と呼んでいます。
ゲームの音响を専门に扱うディシプリンが必要だという动きが起こったのはデジタルゲームの登场以降です。デジタルゲームの研究から始まり、スロットマシンやピンボールなど、より古い时代の游具の音响も研究されるようになっていきました。
ゲームオーディオについて真面目に语られた记事が専门誌などに掲载されるようになったのは1980年代中顷。音源チップでの音作りや音付けなど、主に作り手侧の视点から解説するものでした。90年代に入ると、叠骋惭の効果を测る心理学実験やデジタルゲーム音楽の歴史など、より多様で学问的に。2000年以降は、デジタルゲーム最大の国际学会でゲーム音响に関する理论研究発表があったり、オンラインジャーナルにゲームの中の楽曲を分析した论文が掲载されたりなど徐々に研究が蓄积されていきます。そんななか2008年に刊行されたのが、カレン?コリンズの着书です。ゲームの音について多角的な视点から语り、独自の学问领域が必要であると诉えたゲームオーディオ研究の端绪を开いた1册です。
それ以降、国际的な学术组织をはじめとする団体などが立ち上がり、2020年にゲームの音楽?音响を対象にした査読付きの论文を掲载する学术雑誌が诞生しました。现在は、バラバラに蓄积されてきた研究のディシプリンとしての制度が整ってきている过渡期です。


ゲームをしながら音楽を聴く体験
日本にはそういったアカデミックな制度がまだありません。ゲームオーディオ研究が日本で発展するための基盘となる研究环境を整えようと、いまゲームオーディオ研究文献データベースの构筑を行っています。奥别产上のデータベースを活用しながら、书誌情报の确认、精査などを行い、欧文文献资料は1200点以上リスト化しました。日本语文献は现在160点ほど。これをベースに研究状况のマッピングなども行いたいと考えています。
私のもともとの研究はフランス近代音楽ですが、子供のころからゲームの音や音楽にも惹かれていて、いずれ研究したいと思っていました。ただその资格が私にあるのか。アクション系ゲームがド下手で、自力ではほとんどプレイ中に叠骋惭を闻けた経験が无いのに、それで「ゲームの音」を知っているといえるのかというモヤモヤを抱えていました。そこで一念発起して、半年近く毎日のように近所の古いゲームセンターに通い、往年のアーケード作品に真剣に取り组みました。通しで最后までプレイできるようになり、ゲームの构成や难易度の理解が进むと、音楽の闻こえ方、闻き方が大きく変わりました。ゲームをしながら闻く音楽体験が特殊だということを実感できたのです。
それは何なのか。ゲームならではの音楽体験を深く掘り下げ、それを言语化していきたいです。これまでなかった音楽についての考え方、思想、美学などを生むことにつながる可能性があると考えています。そこに関わる研究を少しずつ积み上げていきます。


- 山上先生の推しゲー
- 『』(タイトー)
「効果音も叠骋惭も一体となって、自分が演奏しているような感覚に。『自分のプレイが音楽になる』感覚を体感できる一作」


