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沿岸地域の復兴と発展に贡献するシンクタンク 叁陆ふるさと社会协创センター设立记念座谈会

掲载日:2025年10月31日


大気海洋研究所の内に新たに设置された「叁陆ふるさと社会协创センター」。9月24日、その记念式典が岩手県大槌町にあるセンターで行われました。东京大学と岩手県が昨年12月に缔结した包括连携协定に基づく设置です。同日に开催された设立记念シンポジウムで、大気海洋研究所の兵藤晋所长が「产学官民が协力し、叁陆沿岸の知见、ニーズ、社会课题を一元的に集约できるような沿岸社会のシンクタンクを目指していく」と绍介したこの新センター。その设立までの歩み、震灾からの復兴、自治体との连携などについて岩手県の佐々木淳副知事、津田敦理事、兵藤晋所长に座谈会を通して绍介していただきました。司会は河村知彦执行役です。

看板かけ

设立记念式典には曹洞宗虎龙山吉祥寺の髙桥英悟住职、岩手県の佐々木淳副知事、东京大学の津田敦理事、大気海洋研究所の兵藤晋所长、村上宏治ふるさと振兴部长、河村知彦执行役、小国大作沿岸広域振兴局长、大槌沿岸センターの青山润センター长らが出席。式典では、大槌町の寺の境内にあった树齢300年余りのイチョウの老木を使った看板掛けが行われました。

震灾をきっかけに深まった地域との连携

佐々木副知事
佐々木副知事
河村●「叁陆ふるさと社会共创センター」が开所し、大槌沿岸センターに新たな机能が加わりました。大槌沿岸センターの始まりは1973年。海洋研究所(现:大気海洋研)の附属施设として、当初は大槌临海研究センターという名称で设立されました。その后、2003年の组织改编で国际沿岸海洋センターとなり、2011年の东日本大震灾で被灾后、復旧を経て、2022年に现在の大槌沿岸センターに改组されました。佐々木副知事は、震灾前から大槌沿岸センターと岩手県の连携に携わり、「いわて海洋研究コンソーシアム」の立ち上げにもご尽力いただきました。当时についてご绍介ください
佐々木 ●大きな転换点は1998年だったと思います。岩手県では岩手県総合计画という12年计画の翌年の策定に向け、目指す社会として、自然との共生、循环を第一に议论していた年です。当时の海洋研究所は大槌湾から世界の海を见ていて、环境と生态系が笔颁叠(ポリ塩化ビフェニル)などの人工物によって海洋汚染が进んでいるという问题意识を持っていました。海洋研究所が中心となり国际连合大学と岩手県とで国际シンポジウムを开催し、その翌年の1999年には、3者が连携协定を缔结し、海洋资源の持続可能な利用や地域振兴に関する共同研究を始めることになりました。
 叁陆沿岸に研究机関があるのであれば、地域の共通课题あるいはそれを补完するような関係性をもって、叁陆を何とかしようという动きがいわて海洋研究コンソーシアムの立ち上げに繋がったと思っています。
河村●このセンターでは、発足以降、沿岸海洋研究の共同利用研究施设として机能するとともに、一贯してセンターの教员を中心とした先端的研究が行われてきましたが、2011年の震灾によって壊灭的な被害を受け、いったん活动を中断せざるを得なくなりました。津田先生が大気海洋研の所长に就任されたのは2015年。大槌沿岸センターの応急的な復旧が终わり、本格的な再建、活动の再开に踏み出そうという时期です。当时どういう思いで取り组まれていたのでしょうか。
津田理事
津田理事

津田●震灾を目の当たりにして、「逃げ出したい」というのが正直な感想でした。海沿いに立地していた研究栋は3阶まで水没しました。その时に「しっかりしろ」と背中を押してくれたのが当时の滨田纯一総长です。科学が発达した文明国で、これだけ大きな地震と津波が起こったのはおそらく初めてのことではないでしょうか。それを记録に残し、后世に繋いでいくというのはその场に居合わせた我々の使命だと感じました。文科省から「东北マリンサイエンス拠点形成事业」という予算も付けていただき、东大だけでなく全国の研究者に一肌脱ぐ形で参加してもらい震灾后の海洋生态系の记録を残せたと思います。
 震灾を挟んで、自治体や地元の方々との関係性も大きく変わったという印象があります。それまであまり密ではなかった连携が深まり、大槌町が拠点の1つとなった东北マリンサイエンスでも背中を押していただきました。
河村●津田さんがおっしゃたように、东大として地震と津波によって何が起こったのか、特に海の生态系にどういう変化が起こったのかを后世に残す必要があるということで、センター内に生物资源再生分野という新しい研究室が立ち上がり、私はその研究室に着任しました。2014年からはセンター长に就任し、復旧活动にも取り组みました。それがある程度落ち着いてきた顷に自治体の集まりがあったのですが、东大が高台に再建するという话を闻いた地元の方々から反対の声が上がりました。なぜ东大だけ早く復旧するのか。东大は塀の中で、何をやっているのかよくわからない。ショックでした。本当に大槌に必要なものなのかといった率直な意见を闻き、サイエンスだけを行っていても地域の役には立たないのではという思いを强くしました。それを契机に、社会科学研究所の玄田有史先生たちと一绪に取り组みを始めたのが、地域に希望を育む人材を育成する「海と希望の学校」です。私は2019年から2023年まで、津田さんの后を継いで大気海洋研の所长に就任し、当时、副所长だった兵藤先生とともにこの新しいプロジェクトを含め、再出発したセンターの活动を后押ししてきました。兵藤さんは私の后、2023年度から所长を务められていますが、センターの役割についてどのようにお考えでしたか?
兵藤●私は柏を本拠地にしていたこともありますが、当初は「海と希望の学校」で私たちが何をできるのかという点については、私自身の中では明確でなかったということが正直なところでした。しかし、東北マリンサイエンス拠点形成事業のなかで叁陆沿岸地域の実情と地域の皆さんと関わり、「海と希望の学校」の取り組みが進む中で、自分たちが何をすべきなのかが少しずつ形になってきたと思います。そこからは河村前所長とともに、とにかく走ろうと進めてきたことが今に繋がっているわけですが、所長になってからは、また新たな展開 を考えるようになりました。

海洋科学研究を地域振兴に活かす

兵藤所长
兵藤所长
河村●震灾から14年経ちました。センターに求められる役割も変化していると思いますが、佐々木副知事はどうお考えですか。
佐々木●世界を相手に科学で胜负してきたこの拠点が、震灾を通じて地域との関わりを改め、知见をどう生かしていくのかというフェーズに代わりました。东北マリンサイエンスでは研究者が叁陆に集まり、研究成果も定期的に报告され、それが渔业者の安心にもつながったのではないでしょうか。津波の中でも生き延びている种があるなどといった话もあり、研究そのものが生活の中にも浸透してくるような流れがありました。新しく设置された叁陆ふるさと社会协创センターが、地域の课题について住民と直接対话をできる、研究も笔搁できる、「大槌方式」フィールドワークのようなものを提案するような动きになっていくのではないでしょうか。
河村●海と希望の学校から始まり、その流れで今回、叁陆ふるさと社会協創センターが発足したと思いますが、兵藤所长からその経緯についてお話しください。
兵藤●海と希望の学校では中学生や高校生を中心とした人材育成に主として関わってきました。叁陆ふるさと社会协创センターでは、そこからさらに、私たちの海洋科学研究を地域の产业振兴や活性化に繋げていくための体制を作るべきだと考えました。新しいセンターを设置するための概算要求などの申请はうまくいかなかったのですが、昨年の12月に东京大学と岩手県で包括连携协定が缔结されたこともあり、タイミングとしては今しかないと考え设置に至りました。我々も地域のために何かをしたい。ただ、どういうニーズがあるのか、それを実现するためにはどのような施策をどう动かしていけばいいのか。そこに埋めなくてはならないギャップがあると感じていました。今回のセンター设置によって、岩手県や自治体の方々にもセンターの中に入っていただいて一绪に活动することで、そのギャップを埋めることができるのではないかとと考えています。
河村先生
河村执行役

佐々木●地域が抱えるいろんな课题に対して、叁刀流、四刀流でやっていくような决意を私たちも感じています。ここからが大変だと思いますが、楽しみでもあります。
河村●东大は全国的にいろんな自治体との连携を进めていますが、岩手県でのこの取り组みが一つのモデルケースになればいいなと思います。津田先生はどうでしょうか。
津田●大きなチャレンジだと思います。日本には1700超の基础自治体があり、900を超える自治体が消灭可能性自治体だと言われています。ベッドタウンでのまちづくりでは、いくつか好事例も出てきています。しかしこの场所では同じことができません。叁陆という场所で、东大が知を结集して何ができるのか。そこを试行错误してほしい。シンクタンクと名乗ることは简単ですが、それが机能するためには市民の皆さん、自治体の皆さんからの理解や期待があってこそ。海と希望の学校の活动を含め、この10数年でそれを胜ち得てきたと思います。いい结果を期待しています。
河村●地方にある东大の研究机関がそれぞれの地域とどう连携し、発展に贡献できるのかということは、我々に与えられた非常に大きな使命の一つだと思います。岩手県とは长年良い関係を构筑してきたので、これをさらに発展させていければと考えています。
佐々木●そうですね。もともと人口减少が进んでいた地域です。それが震灾によって大きなダメージを受け、ゼロではなくマイナスからのスタートで復兴しなければいけないという大きな课题がありました。岩手県では被灾者イコール復兴者であり、现场の意见を尊重して地域住民一人一人が復兴の方向性を描くことを大切にしなくてはいけないというメッセージを送り、それが今の復兴に繋がっています。しかしまだまだ课题は山积しています。この取り组みを通じて地方の新しい発展モデルを作ることができればと期待していますし、我々も积极的に汗をかこうと思っています
兵藤●我々の使命は、海洋科学研究をベースに、地域振兴により深く関わっていく。そして、东大全体を巻き込んでいくことだと思っています。新しいセンターでは、沿岸环境アセスメント部门と产业育成振兴政策部门、社会连携人材育成部门という3つの部门をまずは立ち上げます。ここでは、沿岸海洋调査を行うだけではなく、新たな机器开発などを含めて地域の产业界や民间、自治体の皆さんとの连携を强め、地域振兴を进めていきたいと考えています。将来的には、东京大学の他部局で进められている活动とも连携し、叁陆沿岸のよりよい復兴に贡献していきたいです。
河村●これからいろんなことに取り组んでいかなくてはいけません。皆で顽张って盛り上げていきたいと思います。
 
シンポジウム
9月24日午后、盛冈市で开かれた「叁陆ふるさと社会协创センター设立记念シンポジウム」。
シンポジウムパネルディスカッション
シンポジウムでは、岩手県の海洋研究と地域振兴、东大の地域连携、岩手大学叁陆水产研究センターの取り组みなどについて讲演とパネルディスカッションが行われました。
大槌センター入口
大槌沿岸センター正面玄関

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