灾害対策を自分ごとにするために必要なこととは? 东大の専门家が「サイエンスアゴラ2020」ウェビナーで议论
2011年の东日本大震灾后の岩手県釜石市の津波被害现场。防潮堤によって津波エネルギーは低减されたが、海岸近くの家屋の被害は免れなかった 写真提供:沼田宗纯先生
灾害大国日本において、事前対策や备えの重要性を疑う人はいないにも関わらず、実际に行动をしない人が多いのはなぜでしょうか。他人事だと考えがちな灾害を自分ごとにするためには、何が必要なのでしょうか?
2020年11月15日、科学コミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ2020」内のウェビナーに出展した东京大学の研究者らはそれぞれ、地震、水害、感染症という异なる灾害について取り上げ、议论を交わしました。90分のウェビナーには约30名が参加し、セッションは驰辞耻罢耻产别でも动画配信されました。
モデレーターを务めた生产技术研究所の沼田宗纯准教授はまず、灾害には大きく分けて、地震や津波など、短时间で予测や準备が难しい「突発型灾害」と、台风や大雪、洪水など、比较的事前に被害の规模が想定される「进行型灾害」の2种类があると説明。ハザード(自然の胁威)と、それを受ける社会システムや地域の特性によって灾害の结果は変わる、と话しました。
地震研究所の叁宅弘恵准教授は、灾害を自分自身の问题にするために必要なステップとして、「知る」「测る」「备える」の叁つを挙げました。建物の倒壊や津波、地面に现れる断层のずれ、远くの地震によって都心のビルが揺さぶられる长周期地震动など、さまざまな被害の実态について「知る」ことの重要性を指摘。宇宙卫星やスマートフォン内蔵のセンサーによる地震计など、さまざまな手法で地震を「测る」取り组みや、集めたデータを使ってコンピュータで将来の地震被害をシミュレーションし、人口密度を考虑しながらリスクマップを作って「备える」试みについて绍介しました。
一方、洪水予測について研究を進めているのは生産技術研究所の芳村圭教授。洪水は、世界で平均年経済損失が10兆円以上に上る、地震と並んで甚大な被害を引き起こす自然災害です。過去には気象庁の予測で発生の2時間前まで河川の氾濫警告が出せなかった事例もあり、避難までのリードタイムをいかに長くできるかが課題になっています。芳村先生がJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で研究を進めるToday's Earthというシステムでは、土壌中の水分量や河川流量などのほぼリアルタイムのシミュレーションにより、約30時間前の予測が可能になりつつありますが、現在は、気象庁が「シングルボイス」と呼ばれる、国による予報しか認めない仕組みを採用しているため、民間が独自に洪水予報をすることは認められていません。
ただ近年、大雨による河川の堤防の决壊や氾滥が相次いでいることから、国が研究机関や民间事业者による洪水予报を认める検讨を始めたとの报道もあり、近い将来に「マルチボイス」による洪水予报が解禁されるかもしれません。?
Today's Earthサイトのトップページ画面。ほぼリアルタイムで世界中の河川の流量や氾濫域の推定結果をモニタリングすることができる
芳村先生は、シングルボイスとマルチボイスのシステムにはそれぞれ長所と短所があるものの、マルチボイスはDIY(Do It Yourself =自分でやってみる)災害対策の一つになりえると述べ、「予報情報も自分で取捨選択する社会になりつつあるということを皆さんに考えてもらいたい」と話しました。
现在も感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症ではどうでしょうか?新型コロナ対策専门家会议を始め、国や东京都の対策に関わってきた医科学研究所の武藤香织教授は、今年10月中旬に行われた东京都民への予备调査(奥别产调査、有効回収票数935)の结果を绍介。「东京都の感染状况についての情报を得る」「なるべく混まない时间や场所を选んで行动する」「3密(密闭、密集、密接)が重なる场を避ける」の项目で「夏のほうが気を付けていた」と答えた人がそれぞれ25.7パーセント、14.1パーセント、18.2パーセントに上ったことに触れ、市民の间にコロナ疲れや対策への饱きが生じていると指摘しました。
沼田先生は、人々には「テーブル上」の议论の论理と、「テーブル下」の感情が混在していると解説します。早目の避难や家具の固定、コロナ予防対策の継続が大事だとは分かっていても、地域の歴史や文化から形成される価値観や「まあ大丈夫だろう」という正常性バイアス、「他の谁もやってないし」という同调性バイアスなどに影响され、なかなか行动が起こせないといいます。また、「地震で死んでも构わない」という諦めの境地の人もいるといいます。
そもそも、人はなぜ行动するのか。そこには「谁かを助けたい」「社会の役に立ちたい」という利他的な动机と、「人に认められたい」「お金を储けたい、游びたい」という利己的な动机があります。
灾害対策ミーティングで起こりがちなテーブルの上の议论とテーブルの下の本音の図(沼田先生の発表画面より)
沼田先生は、东日本大震灾の际、避难になかなか応じない住民の説得にあたっていた消防団员が津波に巻き込まれ死亡した例を挙げ、「例えば、避难保険という制度はどうか。避难したらお金がもらえるというシンプル、利己的な考え方に基づくものですが、人间のシンプルな愿望に突き刺さるような社会制度や仕组みを作るというのも考え方としてはありかなと思います」と话しました。
コロナ感染予防でも、利他的な动机に働きかけるメッセージは届きづらいと感じた、と武藤先生も振り返ります。
「2020年3月ごろ、若い世代に向けて、家族や大切な人を守るために予防対策に协力してください、というメッセージを出したら、『専门家会议は(新型コロナウイルスの流行を)若者のせいにするな』といったツイッターでの书き込みが相次ぎ、『谁かを守りたいとか全然思ってない』とさえ言われました。若い人は、自分は重症化しない、无症状、罹らない、という确信があるのではないか。そのあたり、灾害は自分には関係ないし、たまにしか起きないという话と通じるところがあると思います」
私たちはどうすれば自分たちの命を守るための行动を取れるようになるのでしょうか。简単な解决策はありませんが、灾害の种类の违いを超えて、事前の対策作りで共通化できることは多そうです。例えば现在、地域レベルで行われている防灾训练や防灾リーダーの育成を感染症対策にも広げ、正しい感染対策を住民に広めるようなリーダーを育成する取り组みを始めるべき、と武藤先生は话します。
ウェビナーの参加者からは、灾害时に避难するタイミングを世帯主が决める际の条件についてなどの质问が寄せられました。芳村先生は、地形条件、生活条件、避难手段や避难する时间帯など、さまざまな条件が考えられるが、ハザードマップなどの静的な情报に常日顷から接しておき、灾害时のリアルタイムの情报と组み合わせて判断することが必要だろう、と话しました。
沼田先生は、「コロナをきっかけに危机管理や灾害対策のあり方が抜本的に変わるタイミングなので、个人でどこまで対策ができるのか、とか、技术が进歩したときに我々はどのようにそれを学んで生かすべきか、ということを引き続き议论していきたい」と述べ、セッションを缔めくくりました。
文/小竹朝子

