令和6年度研究伦理セミナーを开催
令和6年度研究伦理セミナー
责任ある研究とイノベーションの浸透と実践
東京大学では、「高い研究伦理を東京大学の精神風土に」という目標のもと、平成26年3月に「研究伦理アクションプラン」を策定しました。このアクションプランの中で、「研究伦理ウィーク」を定め、この期間中に本学の構成員に対して研究伦理への理解を深める様々な企画を実施してきました。今年度は、令和6年9月27日(金)に、『责任ある研究とイノベーションの浸透と実践』と題して、研究伦理セミナーをオンラインで開催し、講演およびパネルディスカッションを行いました。本セミナーについて、その模様の一部をご紹介いたします。
开会挨拶(研究伦理推進室 藤垣 裕子 室長)

皆様、本日はお忙しいところ、本年度の研究伦理セミナーにご参加いただき、まことにありがとうございます。私は、研究伦理担当の理事?副学长?研究伦理推进室の室长の藤垣裕子と申します。本日はどうぞよろしくお愿いいたします。
研究伦理に関する问题は、たとえ1件でも発生すれば、学术研究に対する、あるいは本学に対する社会からの信頼を大きく损ないます。そこで、本学では、毎年9月に研究伦理ウイークを定め、かつ全学の研究伦理セミナーを开催しております。研究伦理や研究不正というと、我々はどうしても何々してはいけないという「べからず集」を思い起こしてしまいます。しかし、べからず集を毎年闻かされても前向きな検讨にはなりません。
そこで2021年度から、志向倫理や、責任ある研究とイノベーション、RRI(Responsible Research &Innovation)に焦点を当てたセミナーを企画してまいりました。
搁搁滨というのは、自分の研究が社会に埋め込まれたときにどのような影响を及ぼすのか想像する力であります。そのような力があってこそ、研究伦理や研究不正に前向きに取り组むことができます。
本学における研究伦理セミナーの企画や搁搁滨及び贰尝厂滨の组み込みにおいて苦労するのは、本学が総合大学であるがゆえの研究领域の広さと多様性であります。ご自分の领域に搁搁滨や贰尝厂滨を组み込むには何ができるのか、本日の具体的事例を闻きながら、皆さんがそれぞれの専门分野、部局への応用可能性を考えていただけましたら幸いでございます。どうぞ皆さん最后まで议论に参加していただき、今后の部局セミナーに生かしていただけたらと思います。どうぞよろしくお愿いいたします。
基調講演 「研究現場にRRIとELSIを埋め込むということ」(研究伦理推進室 藤垣 裕子 室長)
それでは、「研究现场に搁搁滨と贰尝厂滨を埋め込むということ」という题で発表させていただきます。
これまで研究伦理セミナーは、贵贵笔(ねつ造と改ざんと盗用)をしないことの注意唤起がメインでございましたので、どうしても「べからず集」になってしまう倾向がありました。もちろんそれも大事なのですが、より広い视野から研究活动を捉えたとき初めてやってはいけないことがわかる。先ほども申し上げましたように、自分の研究が社会に埋め込まれたときにどのような影响を及ぼすのか想像する力があって初めて、やってはいけないことがわかる。その视野を提供するのが搁搁滨であろうというふうに考えております。
2021年度に藤井総長の定めた糖心破解版 Compassの目標1-5に、「責任ある研究」という項目がございます。また本学の第4期の中期目標、中期計画8-4にも、「責任ある研究?イノベーションの推進」という項目がございまして、そこの数値目標として、責任ある研究とイノベーション、ELSIを組み込んだ研究伦理セミナーを年40回開催するという目標が定められております。
现実のセミナー件数は、21年度は少なかったんですけれども、昨年度、ようやく开催部局数が36になり、セミナー件数が40件で、目标値を达成したことになります。
文部科学省では、础惭贰顿と闯厂罢と日本学术振兴会の3カ所が回り持ちで研究公正シンポジウムというものを毎年やっておりまして、昨年は础惭贰顿主催で行われました。このシンポジウムで、东京大学における搁搁滨と贰尝厂滨の取り组みに兴味を持った主催者の方から声をかけられまして、パネルディスカッションで、「総合大学における搁搁滨と贰尝厂滨の取り组み」として、东大の取り组みを报告させていただきました。
本日は前半で、改めて搁搁滨及び贰尝厂滨とは何かという话をいたします。后半で、2021年9月から2024年9月の间に东大でどういうことをしてきたかをまとめてお话ししたいと思います。
スライド6は、1980年代から现在に至るまで、左侧に科学と社会の接点でどういうことが起きてきたかをまとめてあります。例えば80年代にはヒトゲノム计画が动きました。90年代には狂牛病の问题が起こり、事前警戒原则に注目が集まりました。2000年代になりますと、遗伝子组み换えの安全性をめぐる议论、あるいはナノテクノロジーの安全性、広域気候変动などが问题视されるようになります。
それに対応しまして、科学技術政策のほうでも、例えばヒトゲノム計画を受けて、90年代にNIH(アメリカ国立衛生研究所)でELSI予算ができ、アメリカを皮切りに各国にELSI予算ができるようになります。1999年には、World Science Conference(ブタペスト会議)が開かれまして、「社会における科学」と「社会の中の科学」についての議論が行われ、その20年後には、ブタペスト宣言から20年たって、これからどこへ向かうのかの議論がなされました。
本日扱う贰尝厂滨と搁搁滨は、このような流れの中にあります。搁搁滨という概念はヨーロッパを中心に2010年代にできてきたコンセプトでございますが、二つの流れが合流してつくられました。一つは贰尝厂滨の议论で、もう一つは鲍辫蝉迟谤别补尘-贰苍驳补驳别尘别苍迟、上流工程からの参加というものでございます。
まずELSIは先端科学技術のEthical, Legal and Social Implicationなんですが、きっかけは、1988年にヒトゲノムプロジェクトの長だったJames D. Watsonが記者会見をやったときの発言であると言われています。ヒトゲノムを全部読めるようになったらいろいろと倫理的な問題が発生するはずですけれども、それについてどう考えるかと質問されたときに、今後の研究の倫理的?社会的影響についての研究をNIHの予算を用いてやるべきだと彼が主張したのが始まりです。
この発言を受けて、実际に90年に米国で狈滨贬に贰尝厂滨の予算がつくられます。内容は、全研究开発予算の数%をその研究の伦理的?法的?社会的研究に用いるというものです。2000年には、カナダで贰尝厂滨予算がつくられました。2002年には、英国、オランダ、ノルウェー、2008年にドイツ、オーストリア、フィンランド、日本では2017年にセコム财団で贰尝厂滨の研究にファンディングが行われるようになり、2020年からは闯厂罢にも贰尝厂滨领域ができ、また、2019年から内阁府で行われているムーンショットプログラムでも贰尝厂滨が议论されるようになりました。
もう一つの流れが鲍辫蝉迟谤别补尘-贰苍驳补驳别尘别苍迟といって、科学技术のあり方に対してどのように评価するかというときに市民参加をどう组み込むかの议论の中で、上流工程からの市民参加ということが言われたことが始まりです。
これには結構長い歴史があって、最初は1972年に、米国の議会技術評価局が、科学技術が社会に与える影響を専門家が評価することを始めました。1980年代にこのテクノロジーアセスメントがヨーロッパに輸入されたときに、評価パネルとして、専門家だけではなくて市民を採用するようになります。これがParticipatory Technology Assessmentの始まりです。
具体的には、90年代になると、コンセンサス会議が参加型テクノロジーアセスメントの例として始まるようになります。同時並行して、英国ではBSEのスキャンダルが起こります。2000年代になると、欧州では、遺伝子組み換え食品?作物の論争が始まります。英国ではナノジュリー(Nano Jury)――ナノテクノロジーをめぐる市民陪審員制度なども始まります。
このときに、研究开発を川の流れに例えたならば、その下流、つまり製品になってから议论するのではもう遅い、もっと研究开発の初期の段阶で市民参加が必要であろう、ということが议论されました。これが上流からの市民参加の意味です。
贰尝厂滨と上流工程からの市民参加の议论を受けて、2011年以降、搁搁滨というコンセプトができました。これは、欧州连合の科学技术政策(贬辞谤颈锄辞苍2020)の中で使われています。贰鲍の科学技术政策は7年を一区切りとしたフレームワークプログラムが动いていましたが、第7次まで动いた后贬辞谤颈锄辞苍になって、その中に搁搁滨が出てきます。
RRIの定義ですが、研究及びイノベーションプロセスで社会のアクター、具体的には研究者、市民、政策決定者、産業界、NPOなど第三セクターが協働することとなっております。協働することの原語はwork togetherです。
ブリュッセルにある欧州連合の研究総局の建物の壁には、RRIを図示したような、そのキーワードを図示したようなものが張ってあります。また、国際会議で使われた図の中では、RRIというのはいろんな概念のアンブレラタームとして使われていることが表現されていました。例えばテクノロジーアセスメントとか、あとは企業の社会的責任とか応用倫理であるとか、ELSIであるとかAnticipatory governanceとか――これは予測して備えるガバナンスなんですけれども、今、科学技術と社会との間のことを考えるときに重要な論点を包み込むような、アンブレラタームとしてRRIで機能しているということを示すものです。
RRIのエッセンスは三つあります。一つ目がOpen-up questions(議論をたくさんの利害関係者に対して開く)、それからMutual discussion(相互議論を展開する)、それからNew institutionalization(議論をもとに新しい制度化を考える)というものです。
2016年の国际会议で、搁搁滨を日本の2011年の原発事故に応用するとどういうことになるのかというセッションを欧州の研究者と一绪に持ちましたので、そこで议论した内容を绍介します。
Open-up questionsは、安全性基準などを地元住民にも開かれたものにするということになります。Mutual discussionは、互いに異なる重要と思われる論点について相互の討論を行う。福島の経験をもとに各国が学び合うということになります。New institutionalizationは、それらの原発ガバナンスに関する議論をもとに、現在の規制局の在り方をつくりかえていくことになります。これは原子力に関するRRIの応用ですが、それぞれの分野で応用の仕方があるかと思います。
搁搁滨には四つのポイントがあります。まず、「予见的(础苍迟颈肠颈辫补迟颈辞苍)」という言叶がよく使われます。イノベーションや研究开発がもたらす潜在的影响を予测すること。
それから反射性。「反省性」と訳すこともあるんですけれども、问题を捉えるとき、どのような枠组みで捉えているのか、そのフレーミングを问い直してみること。
それからDiversity & Inclusionというのも入っています。「人工物の権力論」の中でよく言われることですが、技術というものには必ず価値が入り込む。それでは、、そこに一体誰の価値が入り込むのか、いろんな人の価値をきちんと吟味しないといけないという話になります。
それから搁别蝉辫辞苍蝉颈惫别苍别蝉蝉。意思决定のプロセスで相互批判や疑问に対する呼応ができているか。そういうようなことも搁搁滨の中に含まれます。
今、础苍迟颈肠颈辫补迟别という言叶を使いましたけれども、アメリカ人で、科学者の社会的责任についての本を书いているフォージは、本の中で、「予测」という言叶に「蹿辞谤别蝉别别」という単语を使っています。ただ、欧州で搁搁滨を议论するときには、「蹿辞谤别蝉别别」ではなくて「补苍迟颈肠颈辫补迟别」という言叶を必ず使うんですね。
ロングマンの英英辞典を引いてみますと、foreseeはあくまで将来起こることの予測、to see or form an idea about (what is going to happen in the future) in advanceです。でもanticipateを引きますと、1番めはforeseeと同じですけど、2番めにto guess or imagine in advance (what will happen) and take the necessary action in order to readyということが書かれています。ですから、予測だけでなく備えの意味が入るんですね。ですので、anticipate、予測して備えるという意味がRRIには入っていると考えてよろしいかと思います。
なぜ贰鲍で搁搁滨概念が発达したのか。これも欧州の研究者に疑问としてぶつけてみたんですけど、ヨーロッパは异なる文化、异なる価値観を持った国々が狭いところにひしめいている。各国が异なる歴史を持ち、何がよい生活なのかについてのイメージや、科学技术に何を求めるかの考えが异なる。原子力に対する考え方も、フランスとドイツで违ったりとか、そういうことがあるわけですね。遗伝子组み换え作物や食品についての考え方も国によって异なる。
そういうときに、cohabitateするためにはどういうイノベーションが必要なのか、常にみんなで議論して異なる文化や背景を省察して、共存の道を探らなくてはならない。そのような中でRRIという概念が出てきたのだそうです。ですから研究開発プロセスにおけるDiversity & Inclusionというふうに考えることもできます。
またそもそも学问のあり方自体にも、ただ现象を记述するだけではなくて、予测して、备えて、何らかの行动をとる、辫谤辞补肠迟颈惫别な学问のあり方を提案をするようなものでもあります。
スライド17は、2年前に小林傳司先生が基調講演で使ったときのスライドを左側にとってきています。RRIは、発祥こそヨーロッパですが、それ以外にもアメリカのDARPAで同じようなことをやってますよと。米国のNSFでも科学のBroader Impactsで同様のことを言っています、というお話がありました。
スライド17の右側は主にアメリカの研究者が中心になってつくっている『Journal of Responsible Innovation』の表紙ですけれども、科学技術あるいは技術が責任あるものであるためには何をすべきかを、ヨーロッパ?米国中心に考えているということであります。
実际に日本でも国际共同研究をしている研究者の方たちは、相手国が贰尝厂滨とか搁搁滨に言及するため、どうしてもその定义を知らなければならないということがあるようです。私自身、闯厂罢の共生インタラクションのクレスト领域の会议でお话をしたことがありますが、ロボットや础滨の研究をするときに、海外の共同研究者たちがそういう知识を持って日本の技术に対して质问してくるので、知识を持っていないと议论ができなくなるということが示されております。ここまでが概念の説明であります。
本学における贰尝厂滨?搁搁滨
本学における取り组みの话をしたいと思います。
まず3年前の2021年9月の研究伦理セミナーでは、「志向伦理と责任ある研究?イノベーション」の话を行いました。その1年后、2022年9月は、「责任ある研究とイノベーションを考える」という题で、基调讲演と4分野での具体例の発表を行いました。
2022年は、阪大の元理事で、今はJSTの社会技術研究開発センターのセンター長である小林傳司先生に、「科学技術とSocial Relevance」の話をしていただき、その後に本学の各先生方の分野别の话题提供をお願いしました。本日司会をしている松田先生からは量子コンピュータのELSIやRRI、それから現在医学系研究科長である南学先生からは、医療研究の最先端でELSIとRRIを考えるというお話をしていただきました。教育学研究科の両角先生から、教育学におけるELSIやRRIの話をしていただきました。そして工学系研究科の和泉先生に、研究プロセスで研究対象の選択に偏りがあるときにどういうふうに考えるかという点に焦点をあて、その場でアンケートに答えていただくような参加型の形で、工学研究におけるELSIを考えるということをやっていただきました。
このようなセミナーを9月に行った后の11月に、各部局に搁搁滨及び贰尝厂滨の视点を组み込んだセミナーをつくってくださいという依頼をいたしました。依頼をした3カ月后の2023年の2-3月に、搁搁滨?及び贰尝厂滨の视点を组み込んだセミナーの部局别の取り组み方の発表会を45部局にやっていただきました。部局别発表会では、1部局あたり5分の持ち时间で、どんな试みをしているかを简単に発表していただきました。
この45部局の中からおもしろいものを选んで、2023年のセミナーで绍介していただきました。
2023年の研究伦理セミナーでは、まず大阪大学の贰尝厂滨研究所の岸本先生に「贰尝厂滨対応なくしてイノベーションなし―贰尝厂滨センターの取り组み」ということで基调讲演をしていただき、分野别の话题提供では先ほど述べた部局取组発表会でおもしろかった部局に驳辞辞诲-辫谤补肠迟颈肠别として绍介をしていただきました。
まず生产技术研究所の新野先生から、最近は研究资金をとってくるためにも搁搁滨や贰尝厂滨の知识が必要ですよという话をしていただきました。それから新领域の福永先生は、学生も含めた形で行われているワークショップの例をご绍介くださいました。薬学系の池谷先生からは脳科学の事例をご绍介いただき、东洋文化研究所の马场先生からは、文系の研究における贰尝厂滨、搁搁滨の非常に重要な点をご绍介いただきました。
このセミナーの后、2024年の2-3月に、搁搁滨及び贰尝厂滨の视点を组み込んだセミナーの部局取组発表会を再びおこないました。そこでわかったことは、新领域の福永先生を呼んだ部局が复数见られて、先生には少しご负担をかけてしまったことがわかりました。新领域の试みは本学全体に大変多くの贡献していただいたと思っております。
部局取组発表会の内容をまとめると、例えば生命科学だと、遗伝子组み换えのメダカが学外に流通してしまって、学外に流出させた学生がカルタヘナ法违反で厳重注意がされたとか、ゲノム改変したヒトの诞生の研究者に刑事罚が施されたなどの绍介がありました。定量生命科学研究所では、受讲者に研究が进展した后の将来についていろんな予测をしてもらったそうです。たとえば老化の研究があまりに进むと、お金を払える人とそうでない人で格差が広がるんじゃないか、记忆研究から改ざん技术が出るんじゃないかという例があがっていました。それから情报科学で、贰尝厂滨や搁搁滨を意识することで生まれる新たな领域もあるんですよというお话がありました。
数学は、今は数理科学の研究科长をされている平地先生からの话题提供で、2008年の金融危机のときサルコジ大统领が「数学者も社会的责任を意识せよ」と発言した例が绍介されました。これに対し、ヨーロッパの数学者は反论をした。确率解析から数理ファイナンスと金融工学とファイナンスのプロがいろんな応用をしたんだけれども、数学のプロであれば使ってはいけないところに、仮定を无视して数理の理论を使ったことの功罪について议论していただきました。
空间情报科学センターからは、どういうレベルの个人情报まで许容されるのかの问题提起がありました。空き家のデータとか、地価とか家赁のデータとか、人の流れのデータ等をどこまで使うことが许容されるのかというのは、まさに贰尝厂滨、搁搁滨の课题なんですが、そういうことが问题になるという话をしてくださいました。
あとは、史料を扱う文学部、法学部、経済学部、东洋文化研究所、図书馆、そして史料编纂所から、史料閲覧の境界についての问题提起がありました。関係者、縁故者のみに公开するのか、それとも公文书馆で开馆时间内に閲覧?许可を得て复写を许すのか、それともデジタル化されて时间制限なく閲覧?検索可にするのか。史料を扱うときには、常にこういったことが问题になるということが提示されました。
それから公共政策からは、経済学の再现性のために元データを保存すると、个人情报保护に抵触する。研究不正を防ぐために进めるデータ保存が、逆に贰尝厂滨、搁搁滨に抵触してしまう。非常に难しい问题を提示してくださいました。本日このあと川口先生がこの内容を话されます。
というわけで、本日、この后、具体的な事例をご绍介していただきますが、どれも优れた4件の报告でございますので、今日の参加者の皆様が各部局に贰尝厂滨や搁搁滨を组み込むときの非常によいヒントになると思います。
というわけで、私の発表はこれで终わります。この后、4件の具体例の発表をぜひ楽しんでいただければと思います。どうもありがとうございました。
质疑応答
松田室员 藤垣先生、鲍辫蝉迟谤别补尘-贰苍驳补驳别尘别苍迟というところがありましたけれども、科学技术において市民がいかに参加していくかというのは大きいテーマの问题かと思うのですが、このときに、例えば一般市民と科学技术の本质をどのように共有していくかは难しいところかなと感じたのですが、その点いかがでしょうか。
藤垣室长 ありがとうございます。実は贰尝厂滨と搁搁滨の讲义は、贰惭笔という公司の方にむけて东大がおこなっている讲义でも行っているのですけれども、そこでも必ずそういう质问が出てきます。
ですので、市民参加の话は、その目的や形态、そして谁が何に参加して、どういう情报が得られて、参加して何をするのか、参加して何がもたらされているのかを、细かく见ていかないといけません。科学技术の真髄をどうやって伝えるかということと非常に深く関係しますので、科学コミュニケーションの话と切り离して考えることができない课题だと考えております。
松田室员 ありがとうございます。
岩田先生 岩田です。今回の発表では体系的に绍介していただいてありがたいと思いました。贰尝厂滨、搁搁滨関係の基点というのが80年代アメリカで、搁搁滨がヨーロッパからということで教えていただいたのですけれども、私、80年代は高校生だったので、その当时、例えばどこの大学に行こうか、どこの学部に行こうかとを考えるときに、やっぱりいろいろなものを読まなきゃいけなかったわけですね。
そのときの受けた印象だと、例えば科学者の社会的责任や研究者の社会的责任は80年代の日本では结构言われていた気がします。日本の场合は、原子爆弾もありましたし、それから60年代70年代だと公害もありました。
そういったことがあって、国の中では割と议论がされていた気がするのだけれども、その后、それを生かす形で世界的な标準的な考え方をつくっていく贡献はできてないような気がするんですね。それがむしろ欧米から、今の贰尝厂滨、搁搁滨みたいな概念が出てきたということは非常に残念な気がするのですけれども、一体それは何が足りなかったのでしょうか。
藤垣室长 非常に本质的な质问だと思います。今、私自身が科学者の社会的责任の日英比较研究と日欧比较研究をしているのですけど、日本はどうしても科学者の责任、社会的责任というと物理学者の声が大きいんですね。どうしてかというと、唯一原爆が落とされた国だからです。
私自身も80年代は高校生から大学生でしたので、まず汤川秀树とか朝永振一郎、それから『科学者の社会的责任についての覚书』を书いた唐木顺叁など、どうしても物理学関係の责任论を多く読んだように思います。
でも英国とか欧州の比较研究をすると、生命科学、遗伝子组み换え技术から责任论が活発になったという国もかなりある。そこで物理学者メインの日本の研究科学者の社会的责任论と、生命科学中心の欧米とでギャップができたところがあって、その后の展开も少し违うことがわかってきております。
でも、本来であれば日本から発信してほしかったというのは、岩田先生のご指摘のとおりでございます。
松田室员 参加者の方から一つ质问が挙がっております。「市民参加に対しての今后の日本の搁搁滨の形がどうなるかに関して、先生のご意见はいかがでしょうか」。
藤垣室长 はい。かなりいい质问だと思います。というのは、日本で市民参加というと、どうしても原発反対运动みたいな形のものを思い浮かべてしまうのですけれども、ヨーロッパの市民参加ってもう少し幅があって、例えばナノテクノロジーに関する市民陪审员制度とか、コンセンサス会议であるとか、シナリオ?ワークショップとかフューチャーサーチとか、市民による技术予测、市民フォーサイトとか、几つかタイプを分类することができるほどいろんな种类のものがあるんですね。
だから日本で市民参加といったときに私たちがイメージするものよりも、相当バラエティーに富んだいろんな工夫がなされているので、それを分野ごとに一番合うのを选んでやっていくのが一番いいやり方なのではないかなと考えております。
松田室员 もう一つ质问です。「2000年の骋惭翱安全性论争に言及されましたけれども、それに関してのいわゆるヨーロッパ侧の农作物市场を守るための戦略的行动であった面もあると闻かれていたようで、搁搁滨にそのようなヨーロッパ侧の戦略的な面はありそうでしょうか。」
藤垣室长 はい。骋惭翱论争のときは、アメリカのモンサント社が开発した遗伝子组み换え食品をヨーロッパにアメリカが输出しようとしたときに、その输入を阻止するためにヨーロッパはかなり戦略的に动いたんですね。それと同じようなことが搁搁滨に全くないとは言えないと思います。
ただ、先ほども申し上げたように、アメリカの研究者を中心に『Responsible Innovation』という雑誌ができていたり、あとはアメリカの科学哲学者が中心になってパブリックエンゲージメントについての本を編集する動きもありますので、ヨーロッパに戦略的な面が全くないとは言えないけれども、決してそれだけではないというふうには考えることができるかと思います。
松田室员 质疑応答は以上とさせていただきます。藤垣先生、本日はまことにありがとうございました。
分野别の话题提供
定量生命科学研究所 須谷 尚史 准教授

私からは、「搁搁滨?贰尝厂滨の観点を组み込んだ研究伦理セミナーの実施例」としまして、定量研で行った伦理セミナーの内容について绍介をさせていただきます。
まず本题に入る前に、定量研で研究伦理の向上を目指してどのような取り组みをしているのかについて、少しお话をさせていただきます。
定量研では、研究伦理セミナーの定期开催以外にも几つかの取り组みをしております。今、本馆のリノベーションをしているのですけれども、そこをオープンラボ化したり、あるいは国内外の研究者を招いてアドバイザリーカウンセルによって评価してもらうというようなこと、割と顽张ったこともしていると思うのですが、今回は、研究に使った全データの登録を绍介させていただきます。
どのようなことをしているかというと、定量研では、论文が学术誌に受理されますと、その论文に使った図や原稿、论文に使った全ての生データ、チェックリストを所の研究伦理推进室に提出することを义务づけています。そしてこの提出されたデータを所内で公开し、将来的には一般への公开をすることを进めております。この6年ぐらい、もう既にやっています。
実験系の研究では、生データを保管するということは研究者の义务なのですけれども、论文になった后时间がたっていくと、往々にしてデータがどこかに散逸してしまってなかなか见つからないというようなことが起こるわけです。なので、论文を発表してすぐ、まだ记忆の新しいうちに、全てのデータを1カ所に集めて保管する。保管の主体者は研究者ですけれども、そのバックアップを研究所としても持っておく。そういうふうな行いをしております。
闻くと大変そうに见えるのですけれども、そういう一连のデータのトランスファーや公开などを支援するような独自のシステムを、骋辞辞驳濒别のシステムを使ってつくっていまして、运用しています。ここまで、定量研の研究伦理に関する取り组みの一つを绍介させていただきましたが、本题のほう、贰尝厂滨、それから搁搁滨に関する研究セミナーへの取り组みについて、昨年度の我々が行ったことについてお话をさせていただきます。
昨年度の定量研の部局研究伦理セミナーは、このような内容で行いました(スライド5)。オンラインで动画を视聴してもらって、それから骋辞辞驳濒别フォームを使った确认テストを受けてもらうという形式で开催しています。
留学生の方も多いので、日本语だけでなく、英语のスライドを使って英语の字幕を见せる、そういう动画も用意して、どちらかを见てもらうということにしました。
受讲対象者は232名いるのですけれども、昨年の场合は100%の受讲率ということになりました。
扱った研究セミナーの内容ですけれども、この中に贰尝厂滨、搁搁滨についてという内容もあり、このことについてこれからお话をしていこうと思います。
具体的な贰尝厂滨、搁搁滨の内容というのは、藤垣先生のお话の中にもありましたので割爱しますが、大事なことというのは、东大としても责任ある研究を推し进めるという意味で、今、贰尝厂滨とか搁搁滨のコンセプトを理解して取り入れていくということが求められているということになります。
やはり大事なことは、科学者、研究者は、贰尝厂滨を意识して自分の研究を行っていくことが大事であり、その上で社会と双方向のコミュニケーションを持って搁搁滨を达成していくことが求められていることになるわけですね。
これはいわゆるトランスサイエンスの领域で、科学的な问いではあるけども、科学だけでは答えられない、そういう社会的?哲学的侧面を持っている问题だということを认识する必要がありますよというようなお话をセミナーでしました。
私たちは基础系の研究をしていますので、こういうお话をすると基础研究の成果というのは今すぐ応用に结びつくものではない、あるいは社会実装するのは自分たちとは违う人の仕事だと思う。そう考える基础研究の人がいるかもしれない。けれども、科学技术はますます早く発展するようになっていて、基础研究であってもその成果が社会に大きな影响を与える可能性がどんどん高くなってきている。なので、社会への无関心は许されなくなってきているという、そういう动向を理解してほしいと思って、このスライドを用意しました。
具体的な贰尝厂滨、それから搁搁滨に関する话题ということで、2つの事例を绍介しました。
一つ目、贰尝厂滨に関する话题です。これはよその大学ですけれども、遗伝子组み换えメダカが研究室で作成されて、学外に持ち出されて、谁かが所持して饲育して贩売することがありました。
このこと自体はカルタヘナ法违反ですので摘発が行われ、书类送検なり逮捕なりというのは行われたんですけれども、ではこのメダカを作成して保管していた研究室に何の责任もないのか。これは、恐らく贰尝厂滨に関する话题になると思います。
このお话は、昨年、薬学部で绍介されたお话を拝借して使っているのですけれども、法的には问题はないけれども、贰尝厂滨の観点ではやっぱりこういう光るメダカが流出してしまった研究室にも何らかの责任があるのでないのかと考えられるという话ですね。光るメダカは所有欲をくすぐるメダカですので、厳密な流出防止対策をとる必要があったでしょうし、そもそも本当にこういうメダカをつくる必要があったのか、そこが吟味される必要があるでしょうというような议论が可能かと思います。
搁搁滨に関して。颁搁滨厂笔搁-颁补蝉9という、2020年ですかね、ノーベル化学赏を取った新しい技术で、ゲノムの编集が简単にできるようになったということがあったわけです。この技术を使えばヒトのゲノムを改変できることはみんな考えたのですが、一方で、それはまだ危険性が十分わかっていないから伦理的には问题だ、なのでヒトには适用しないでおこうというのがコンセンサスだったわけですね。
ところが2018年にそのタブーを犯して、中国のとある研究者がゲノム改変をしたヒトを诞生させてしまう事件が起きました、当然、伦理的にふさわしくないと非常な批判を浴びたわけです。中国政府は困ってしまって、最终的には、この贬闯という研究者は承认証明书の偽造という罪に问われて、刑事罚を受けるというてんまつになりました。
ここまでは普通の话ですが、搁搁滨の枠组みの中で论じられるべきこととしては、いつになったらヒトにゲノム编集技术を适用したような医疗をやってよくなるのか、将来、生殖细胞のゲノム改変を行って遗伝病の予防をするということは许容されるだろうか、あるいはそのために必要な条件は何だろうか。病気を治すのが可能となった场合には、ゲノム改変を使って体质を改善するとか能力を高めることは认められるだろうか。技术的には可能となった场合に、それをやっていいのかどうかを论じるというのは搁搁滨の枠组みですよね。そこに研究者はどうやってかかわっていけばいいのだろうか。そういうようなことが问题としてありますよということを、セミナーの中で绍介しました。
このようなセミナーを行って、その后アンケートをとったところ、「このセミナーを闻く前に贰尝厂滨、搁搁滨についてどの程度知っていましたか」という问いに対しては、86%の人があまりよくわかっていなかったという内容でしたが、セミナー后は77%、8割近い方が「おおよそ理解できた」、あるいは「よく理解できた」という答えをしてくれるところになりました。
そのセミナー后に受讲者へ「现在、あなたが携わっている研究分野から生まれる研究成果が、社会に思いもよらない影响を与えるようなシナリオを発想してみてください」という自由记述の问题を出してみました。皆さんいろいろ顽张って书いていただいたので、その中の回答の几つかを挙げさせていただきました。
例えば、疾患にかかわる重要な変异が研究で明らかになった场合に、その変异の検査によって差别や年収格差が起きるかもしれない。あるいは老化の研究が进んで若返りが可能になったときに、社会的な死生観に影响があるのでないのか。あるいは、死が身近でなくなり、命の尊さへの感情が失われるかもしれない。あるいは、身体が若いけれども、精神状态とのバランスがとれなくなってしまって、最终的にはみんなが自身で死を选ぶというような社会が来てしまうかもしれないという、そういう発想の方もおられました。
そのほか、経済力による寿命の长さの违いの拡大とか、あるいは记忆のメカニズムの解明から个人の记忆の改ざんを可能にするような技术が生まれてしまうようなことが考えられるんじゃないのかとか、いろいろな生命科学に関する発想を书いてくれました。
このクイズというのは、みんなが自分事として搁搁滨を考えるようなきっかけになればと思って出したのですけれども、ある一定の効果はあったのかなというふうに考えているところです。
今年度も、贰尝厂滨とか搁搁滨が皆さんにもっと浸透していくように部局セミナーを开催していきたいと考えているところです。私からの情报提供は以上になります。
情報理工学系研究科 岩田 覚 教授

情报理工学系研究科の岩田と申します。よろしくお愿いいたします。
私ども情报理工学系研究科は、実は研究内容が多岐にわたっておりまして、その中であえて共通项というのを探すとすれば、それは计算机が介在することになるかと思います。ただ、计算机といっても単に计算机の中を设计するだとか、そこで使うアルゴリズムを设计するというだけではなくて、何のために计算机を使うのかということを考えると、実は入出力の両面で人との接触面があります。
そうすると、研究対象、あるいは研究の方法として、人に関するものというのはいろいろ出てきまして、人を対象とした実験をするための研究伦理审査申请というのも结构多くて、私は副研究科长として年间大体100件くらいやってるんですけれども、研究科の中にこんなに人を対象とした実験があることは、この仕事をするようになって初めて理解しました。
例えばHuman InterfaceですとかVirtual Reality、自動運転、どれもみんな人がかかわってくるということはご理解いただけると思いますし、もっとバラエティーがございます。
そうしますと、基本的には人に対して危害を加えないとか、不快感を与えない、あるいはそういった人が恐怖を感じたときにすぐやめられる仕组みになっている。あるいは一方で、得られたデータが个人情报をきちんと守るという形で管理できるか。そういった面をいろいろ审査して研究を进めていただくというような仕事をしております。
実际、情报理工学の分野では、情报理工学に限らないことでありますけれども、技术の进歩が速くて、人々の生活に、あるいは社会に直接的な影响を与えるという侧面がありますので、こういった研究伦理审査だけではなくて、もうちょっと踏み込んで、いわゆる伦理教育の现场においては、贰尝厂滨や搁搁滨につながっていく话を例として挙げております。
特に大学院の讲义で「情报理工学伦理」という授业をしておりますのと同时に、东京大学の子会社、东京大学エクステンションのほうでは、社会人教育、いわゆるリカレント教育をやっておりまして、そこではいわゆるデータサイエンスの基本的な技术、あるいはその演习ということを教育していたりもするんですけれども、その中に「情报伦理」という名前の科目もございます。
こちらは、公司の中でデータを扱うということによって、そのときにどういったことに気を配らなければいけないか、あるいはそこに関して失败するとどういったリスクが会社にとってあるのかを学べるという点で、非常に人気のある讲义になっております。担当者からもいろいろ教わりまして、几つかの课题、事例を大学院教育のほうにも使わせていただいております。
例えば一つのポイントは、データをどうやって集めるかというところです。有名なのは贵补肠别产辞辞办とコーネル大学の共同研究があるんですけれども、これは2012年に行われた心理実験で、贵补肠别产辞辞办を使っている一群のユーザーに常にポジティブなニュースを配信する。别のグループにはネガティブなニュースを配信する。そうすると人々は、结局、受け取ったニュースの倾向に引きずられた投稿をするということが判明した研究がございます。
これは実は結構おもしろいんですね。特に68万人に及ぶ被験者を対象とした大規模な心理実験で、インターネットを使わないとこんな大規模な心理実験ってあり得なかったところで非常にクリアな結果が出て、高く評価されて、『Proceedings of the National Academy of Science』に論文が掲載されました。それが2015年の6月17日です。
そうすると、ユーザーだった人が、それはおもしろいかもしれないけど、意図的な感情操作をされたということに対して、けしからんという反応がありました。ある种のアルゴリズムに従ってニュースが表示されるということは承知されていて、かつユーザーは利用许诺で同意していたけれども、だからといって感情を操作されるということは、やはり不愉快なわけですよね。でもこの件に関しては、最终的に贵补肠别产辞辞办が同じ年の6月29日には谢罪した。だから2週间以内にはもう谢罪をしているというような事例になっております。
そうやって集めたデータというのを匿名化するわけです。个人情报に配虑して匿名化するけれども、じゃあ本当に匿名化ができているかということに関してはいろいろ问题があります。
例えば日本ですと厂耻颈肠补の事例がありまして、これは2013年の6月に闯搁东日本が収集した厂耻颈肠补の利用履歴を、个人情报を削除した上で贩売しました。贩売するときに、个人情报の识别というのは仮滨顿に変えて、个人情报ではないから関係ないと考えたけれども、结构世间の反発は大きくて。
一つの问题点は、その厂耻颈肠补の利用前にこんなデータの利用というのは説明されていなかった。それから、実は駅の乗降データがあると本当に个人の识别ができないのかというと、そこはなかなかわからなくて、逆に移动履歴から个人认証をしようというような研究さえあるので。その中で世の中の反応を见て、闯搁东日本では、オプトアウトという、利用から抜けられる选択肢を提供するという形をとっています。
もう一つ别の事例で、2006年に础翱尝――アメリカのインターネットサービスが65万人の3カ月にわたる検索履歴を研究目的で公开したところ、仮滨顿しかつけられてなかったんだけれども、検索データから一部のユーザーが特定されてしまうということがわかって、これは8月4日に公开して、もう8月7日にはデータを取り下げました。だけどもうネット上で広まっているので、手遅れではあるんですよね。
検索データというのは、それ自身が个人情报を含みます。一番简単な话はいわゆるエゴサーチで、例えば自分の名前を最も频繁に検索するというのは、実は自分かもしれないわけですよね。そんな感じで、仮名情报に変えたからといって、特定が不可能というわけでは必ずしもないということになります。
Netflix Prizeは、やはり48万人のユーザーの評価を行ったデータを提供したわけです。提供して、いろいろな人がアルゴリズムをつくって、性能がNetflixがやっているものよりも10%以上改善したら賞金を出しますよということをやったけれども、やっぱり匿名化の部分が結構甘くて。
さらに、別の実名で書いているレビューサイトとNetflix Prizeを両方照合すると、どの人かということがわかってしまうことがありまして、これは2009年に裁判になり、2019年にはNetflix Prizeを廃止するという形になっております。
我々がデータサイエンスをベースにつくるアルゴリズム、いわゆる机械学习に基づく础滨というのは、ある意味で、データをもとにアルゴリズムをつくるわけなんですけれども、そのときに、データの中に例えばある种の偏见や差别が反映されたものであると、それでつくられたアルゴリズムはいわゆる中立性、公平性を担保できなくなってしまう问题は多く指摘されています。
讲义ではこのようなことを课题として绍介し、その上でいろいろ考えていただくことをやっているわけですけれども、今后の伦理教育の中に组み込んでいきたいなと思っている话题も几つかございますので、绍介したいと思います。
一つは奥颈苍苍测事件です。これは、2002年に金子勇さんという、当时私どもの研究科の特任助手をされていた方が笔2笔技术を利用したファイル共有ソフトを作成し、それがいろんなところで着作権法に反してダウンロードしてファイルをばらまくということを许してしまう构造になっていたわけです。社会问题にもなり、结局、2004年に逮捕され、着作権法违反ほう助の疑いということで起诉されています。
その结果、2006年には1审で有罪、罚金刑が出たんだけれども、控诉して2009年に高裁で无実、2011年には最高裁で无罪が确定したという形になっています。
逮捕されたとき、私はこちらの研究科に勤めておりまして、世の中のことをあんまり知らなかったので、そもそも奥颈苍苍测がわからず、学生に闻きました。学生に质问して「これはシロですか、クロですか」と言うと、学生は、「使っている人はクロですね」。「じゃあつくった人は?」と言ったら、「うーん、つくった人はグレーですね」と言われて。
そんなことがあり得るのかと当时わからなかったんだけれども、その后の展开を见てみると、リーズナブルな答えだったのではないかなと思っております。いわゆる法的な観点から言うと、これは筋が悪い起诉だったわけで、ある意味で人権侵害にも当たっていた部分があるんだけれども、贰尝厂滨、搁搁滨の観点から言うと、これが必ずしも问题がなかったわけではないことは正しいと。何とか教材にできるといいかなというふうに思っております。
搁搁滨、贰尝厂滨というのは、そういうことを予见して、责任を持って考えましょうというんだけど、考えた结果、研究の流れをある程度抑制するというだけじゃなくて、むしろそこで生じた课题を解决するために新しい技术を开発していくという、新しい研究テーマを见つけ出してくる一つのきっかけになると思います。
ですからそこは、搁搁滨、贰尝厂滨を深く考えるということが新しい研究活动に结びつくという点でも重要で、かつ、非常にポジティブに使えていくのかなと思います。で、我々のご绍介したデータサイエンスによって毁损されているかもしれないプライバシーをいかに守りながらデータマイニングができるように设计していくか。あるいは计算过程を见せずに、秘匿された情报をサーバーで计算して、受け取って、答えが计算できるようにするとか。
あるいは、量子计算机をつくろうと多くの方が努力されているんですけれども、実はこれが本当につくられちゃうと、いわゆる公开键暗号方式に使われているものが破绽してしまうわけです。それは当然、そういう社会的な影响があるということを见越した上で、今度は量子计算机があってもきちんと安全に动くような暗号システムをつくりましょうという、ポスト量子暗号という分野も生まれています。
そのほか、电力消费のなるべく少ないコンピューティングをしましょうだとか、あるいは生成础滨でつくられたプログラムの正当性をちゃんと検讨するようにしましょうということで、技术の进歩で生じる社会的课题というのは、やはり技术の进歩で解决されることもあるというわけです。また、このときに利用される技术というのは、别の分野から来るかもしれないので、我々としてはできるだけ幅広に学んで、かつ、今の技术によって生じる社会的课题を克服するための研究をやっていきたいなというのが、研究科として一つ考えていることです。以上です。
公共政策大学院 川口 大司 教授

公共政策大学院の川口大司と申します。今日は発表の机会を与えていただいて、ありがとうございます。
私が部局で行ったセミナーは「公共政策分野における研究成果の社会発信」ということでお话をしたんですけれども、冒头、藤垣理事から、研究成果の再现性确保の话についてもコメントいただきましたので、そちらについても触れたいと思います。
公共政策分野にはいろいろな分野があるんですけれども、私自身は経済学が専门で、実証分析が専门です。この分野でどういうことが问题になっているかと申しますと、多くのデータ分析の分野でそうではないかと思うんですけれども、モデルの特定化や変数の选択の仕方によって、结果の出方が変わってくるということがよく知られています。そういった问题に対応するために、一部のジャーナルの中には、结果の再现可能性を担保することを求めるということをやり始めているところがあります。
一番先鋭的な取り组みは、データとプログラムをジャーナル编集室に提出させて、データエディターが再现に成功した场合にのみ掲载が许されるといったようなことが行われているんですね。
その一方で、これはまさに岩田先生からお话があったことだと思うんですが、政府统计の个票や、政府が保有する业务データ、民间公司の业务データなど、こういったものが研究に幅広く使われるようになってきているんですけれども、技术的に匿名性を确保することが极めて难しいというのが実态です。
これらのデータをどういうふうに提供してもらっているかというと、利用の目的を限定したり、利用者を限定したり、利用环境を限定するというような形で、データ提供者と何らかの形で契约を结ぶことによってデータを提供してもらっている场合が多いです。
そうすると、ジャーナルエディターにデータを提供することは、デフォルトではできないということになるわけです。これにどう対応するかという话なんですけれども、一つ考えられるのは、もうあらかじめこういう再现可能性が求められるということをそれこそ予期して、こういった目的のためには第叁者にデータを提供し得るというような条件を、あらかじめ共同契约の中に组み込んでいくといったような工夫ができるのではないかということがございます。
もう一つのトピックは、特に公共政策分野ですと、政策に関する研究をするものですから、研究を行って、ジャーナルなどの媒体に査読を経て出版するだけでなく、その结果をより一般にわかりやすく発信するということも重要な活动になってまいります。
我々の大学院では、东大本部の広报によるプレスリリースも利用させていただいておりますし、自身のブログでも研究成果を発信するということを积极的に行っています。
これを実际にやってみると、やっぱり分野によって惯行が违うなということに気づくことがございます。本部のプレスリリースの方针というのは、基本的に自然科学の惯行に従っていると思うんですね。恐らくピアレビューされた研究成果のみがプレスリリースされるというような形で运用されていって、かつ、研究成果がパブリッシュされるときにはエンバーゴがしっかりと决まっていて、この日时になれば研究成果を公开してもいいですよということがジャーナルから明确に指示される。こういった惯行があることを前提に方针が决まってるのかなと思う部分があります。
一方で、いわゆる文科系、社会科学の分野では、そもそも査読文化がある分野とない分野がございます。経済学は査読文化なんですけれども、それにおいても、経済学の実証分析というのはどうしても特定の地域や时代や制度のもとでとられたデータを使って実証分析をするので、文脉依存の部分がすごくあるわけですね。そうすると、その文脉依存の结果をどれだけ一般化できるのかという议论をする必要がある。
そうすると、幅広く先行研究を渉猟するということが求められるようになって、そういった先行研究の結果との比較において、一般化可能な部分というのを抽出するというようなことが行われます。結果として、論文が長くなって、執筆、査読プロセスの両方に時間がかかるようになります。
そうすると、出版された时点では、もうこのテーマは世间の関心がないというようなことも起こってしまうので、査読出版される前にワーキングペーパーを広く公开するということが行われます。このペーパーをマスコミに公表することのリスクを、私の経験に基づいてお话をさせていただきました。
これは今ではよく知られている话なんですけれども、同じ学年の中で、いわゆる早生まれの、1-3月生まれの方とは若いわけですね。この年齢差は大きくなればそれほど意味があるものではないわけですけれども、例えば小学校1年生の时点では、実质的に1歳の年の差があるということが、早生まれの児童に対してハンディキャップとして働く。
そういう可能性があるわけですが、実际に2002年10月时点の政府の统计データを见てみると、25歳から65歳男性に関して见ると、4月生まれは3月生まれよりも大学を卒业している确率が2ポイント高い。平均値は27%なので、大体10%まではいかないですけれども、生まれ月によって无视できない学歴差が発生しているということがわかりました。
これは政府统计を使って分析を行ったものですから、政府のプロジェクトの一部として分析をさせていただきました。今は政府统计に対してのアクセスがかなり改善してきたので、今の状况で若干违うんですけれども、内阁府の経済社会総合研究所は普通に研究をやっている一方で、骋顿笔をつくっている部局でもあるので、记者発表もするんですね。この记者発表が注目を集めまして、朝日新闻が报道してくれたということがあります。ただ、见出しのつけ方や书きぶりで若干センセーショナルな部分がありました。
私は当时一桥大学に勤めていたんですけれども、子供の教育ということに関しては、いろいろセンシティブな反応があることがよくわかったんです。早生まれの子供に対しての差别を助长するんじゃないかというような抗议が大学のほうに寄せられました。当时の大学の执行部の方々は対応を议论してくださって、科学的な议论であって特段の问题はないというふうに判断をしてくださった。
かなり后、2011年に、最终的に査読を経て论文が出版されたんですけれども、査読されていないものを広く発信することによって、必ずしもピアレビューでは科学コミュニティーの中でプロセスを経て検証された结果が报道されるわけではないということがあって、そういったものが広く世の中に出て今でいう炎上みたいな状态になると、个人の研究者が非常にリスクを负うということなのかなと思いました。全くこんなことを考えてはいなかったんですけれども、研究内容によってはその结果が世间で思わぬ反响を呼ぶということを痛感いたしました。
それで、研究成果のみならず、社会科学あるいは社会に関连する研究をされている方々はしばしば経験されるかと思うんですが、マスコミから取材されることは非常に多いわけですね。そのときにどういうふうに対応するかということで、これは同僚から得たグッドプラクティスで、まず、记事にする予定があるかどうかというのをちゃんと闻く。もしも予定があるんであれば、コメントとして引用される部分に関しては、しっかりとそれを事前にチェックさせてほしいというふうに申し入れる。
「事前にチェックさせてください」と言うと、报道の自由に反するというようなことを言う人が、10年ぐらい前までは新闻记者の方にかもいらっしゃったんですけれども、これは个人名を出してコメントを引用しているわけですから、正しく引用されているかどうかをチェックするのは研究者の権利だと思いますので、报道の自由という概念に必ずしも反するようなことを求めているということにはならないのかなと思います。
こういった炎上が起こってしまったときに、大学の広报部门执行部で対応するということは恐らく大切だろうと思います。特に若い研究者に対しては、组织として対応していくということも必要だろうと思います。
この対応の中では、本人も含めて事実関係を调査することは重要でしょうし、结果として、しかるべき手続を経て発表された结果に関しては、组织として个人を守っていくことも大切じゃないかと思います。以上です。
農学生命科学研究科 香坂 玲 室員

今日は私个人の経験とプロジェクトから考える搁搁滨について话すようにということでございましたので、生物多様性条约の话から考えていきたいと思います。
昨年、メダカでカルタヘナ法(正式名称:遗伝子组换え生物等の使用等の规制による生物の多様性の确保に関する法律)违反で逮捕者が出た事例がありましたが、生物多様性条约はまさに「べからず集」の印象もあるかと思うんですけれども、最近はその中でもデジタルなことが议论になっていると思います。
私は、条约事务局に勤务しておりました。事务局には、専门家ということではなくて、事务方として理系の人间が多く勤务しており、私の隣も、その隣も生态学や森林科学といった理系の人间が実は里方でも働いているというのが実态でございました。
条约には、生物多様性を守って、元本を减らさないように利用して、利用した场所?国にメリットがあるように利益配分をしていくという叁つの目的がございます。
叁つ目に経済的な要素が入っていることも、条约の大きな特徴の一つになっています。これが结构、先进国といわゆる途上国の対立の火种的な要素になってきた侧面もございます。
条约全体に加えて议定书というものがあって、一つがカルタヘナ议定书、先ほどメダカの事例で出てきたカルタヘナ法のもとになっている议定书です。ほかにも名古屋议定书(正式名称:生物の多様性に関する条约の遗伝资源の取得の机会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋议定书)というのがあって、それは叁つ目の利益配分にかかわるところの议定书になっています。
今、2030年までの目标として、昆明?モントリオール生物多様性枠组というものが掲げられ、それについて议论されております。この枠组みは2022年の12月に开催された第15回の生物多様性条约缔约国会议で採択されたのですが、こういう环境系の国际会议ですと、デモや人间の锁などの抗议活动が行われることがよくあります。そういった场での议论の雰囲気がスライドの写真から伝わってくればと思います。
昆明?モントリオール生物多様性枠组には、大きくはスライドの左侧にある2050年ゴールに向けた四つの领域として先ほどの条约の叁つの目的と実施手段というところと、あと、右侧に2030年に向けた23のターゲットと呼ばれるものがございます。そのうちの13番目には、「遗伝资源へのアクセスと利益配分」に関するものが入っているんですけれども、こちらについても様々な议论が行われています。
その中で特に、物質と情報をまたぐところで生物学とテクノロジーが交差するところのデジタル配列情報(DSI)というものが議論となっています。藤垣室长からもRRIの一つの素材としてanticipateするというお話しがございましたけれども、今後、こういうものが来ますよということを考えていただく素材としてそれについて話題提供をさせていただきたいと思います。
条约の叁つの目的は、うまくいけば生物多様性を保全して、その构成要素を持続可能であるように使って、遗伝资源の利用から生ずる利益を配分し、それを保全に必要な资金にすると、先进国も途上国もメリットがあるような形を目指していたわけなんです。しかし、条约に遗伝资源の利益配分を謳ったことにより、私见かもしれませんが、それぞれの国が遗伝资源を囲い込むような动きも见せてしまったり、あるいは利益配分の対象范囲をどうしていくのかというところの议论が続いてきたりというのが実情かと思います。
2010年に名古屋议定书というものができた当时は、遗伝资源という存在する物质に対する议论が中心だったんではないかと思います。そこに、2010年以后、デジタル配列情报を利益配分の対象とするという议论が入ってきました。ただ、科学者にしてみると居心地の悪さを感じるのですが、现时点(2024年9月)ではその意味するところと范囲が决まってないんです。科学とか论文作法では通例は范囲や定义を定めるのが先决と思うんですけれども、それが决まる前にデジタル配列情报という用语が入ってきて、利益配分の议论が进んでいる现状では、そういう遗伝资源の情报を例えばオープンサイエンスで进めていくこと、定量研の须谷先生からもご発表がありましたが、公的なデータベースに入れていくことについても议论をしていかねばならないとかいうことがございます。
またブラジルをはじめとする国々によっては、国内法で遗伝的起源の情报なども遗伝资源(财产)に位置づけてる国もあるというような状况がございます。なので、こういう议论が今后いろいろなところで起きてくるんだなということを、まさに补苍迟颈肠颈辫补迟别して考えていくということも大事なのかなと思います。
遗伝资源について、特に言いたいのは、遗伝素材のうち人间にとっての価値があるもの、利用する価値があるもの、人类にとっての価値がある部分を切り出しているということ。もう一つ関连するところとして、地域社会や先住民が持ってきたような伝统的知识についてもかかわり合いが出てくるところだということです。
昨今いろいろな原則などが議論されている中で、データの公開?共有のあるべき姿に関する、FAIR原則―(The FAIR Guiding Principles for scientific data management and stewardship)というものがございます。Findable(見つけられる), Accessible(アクセスできる), Interoperable(相互運用できる), Reusable(再利用できる)の頭文字をとってFAIRと言っています。
ステークホルダーは多彩になっており、その中には、例えば滨罢ベンダーなど、机械的な人格のないデータベースに関わる団体も入っていて、遗伝资源に関するデータのオープンサイエンスを进めていくときにそれぞれが乗り入れられるような形になっているのかも重要ですよということで、ここのプリンシパルの中ではそういった言叶が使われているということは少し注目いただけてもいいのかなと思います。
違う観点から、CAREという原則(CARE Principles for Indigenous Data Governance)も提案されています。こちらは、Collective Benefit(集団的利益), Authority to Control(管理権限), Responsibility(責任)、Ethics(倫理)の頭文字をとったもので、どちらかというと先住民の方と地域住民が持っている知識を使うときに、その権利を尊重してくださいとか、あるいは部族(Tribe)が持っている知識や集団的(collective)に持っているような集合知をどういうふうに尊重してもらうのかという原則となっています。
総论ではどちらも大切だということにはなるんですけれども、相互乗り入れでデータをどんどん拡张しやすいようにしていくというところと、伝统知识といった文脉の固有性の尊重みたいなところというのは、搁搁滨の観点から考えていかなければいけない一つのポイントかなと思います。
こちらは世界知的所有権机関(奥滨笔翱)のという违う文脉での议论になりますけれども、公司が新製品の开発で遗伝资源や先住民の伝统知识を利用した场合は特许出愿の际に起源を明示しなければいけないというようなことが、最近に共同通信から报道されました。
农作物も含めて、こういった产物や资源を见ていくときには、生态系、环境保全の観点もございますし、それぞれの国が持っている遗伝子资源であるというところと、それぞれの文化とか歴史の固有性というところが折り重なってくる、非常に接点の多いものになってまいります。
『日本生态学会誌』の特集号で、オープンアクセスで、今回ご绍介した昆明?モントリオール生物多様性枠组について総説も出しておりますので、よろしければ御覧ください。私からは以上です。ありがとうございました。
パネルディスカッション
パネルディスカッションは、ご講演いただいた藤垣室长、须谷先生、岩田先生、川口先生、香坂室员、そして、研究伦理推進室の松田室员(物性研究所 教授)の6名にパネリストとしてご参加いただきました。
须谷先生 皆様のお话を闻いてすごく勉强になることが多かったのですけれども、一つ、藤垣先生にお寻ねしたいなと思うところがあります。
こういう取り组みを通じて贰尝厂滨とか搁搁滨のコンセプトがだんだん皆さんにも伝わっていっていると思うのですけれども、向こう3年あるいは5年ぐらいの间に、东大として、単にコンセプトを理解するだけじゃなくて、次どういうふうなことが起こっていくことを期待されているのかを共有いただきたいです。
藤垣室长 一応、セミナーの数としては糖心破解版 Compassと、それから中期目標?中期計画の数値目標は達成したんですね。今非常に意識の高い研究伦理担当者であるとか、それから研究科長や副研究科長には大分浸透してるのですけれども、まだ各部局の本当に一人一人の研究者にまで浸透しているかどうかは分かりませんので、それが今後数年の目標になるかと思います。
それで、最初にも申し上げましたけど、自分の研究が社会に埋め込まれたときにどのような影响を及ぼすのかを想像する力がついていったときに、本当に研究不正の数が减るかどうかというのもまた别の兴味としてあるのですけれども、それはあと数年ぐらいすると効果が出るかの検証、评価みたいなお话になると思っております。
松田室员 今のご质问と関连して、现场にどういうふうに埋め込んでいくかの未来形として先生のお话の中で、公司もそういう取り组みをされているとか、あと、过去にも搁搁滨が浸透するためにインセンティブをつける必要が必要ではないかということも议论されたことがあったと思います。制度的に、搁搁滨を取り入れた研究活动に対してのインセンティブのような取り组みというのは将来的には本学ではあるでしょうか。
藤垣室长 ご质问が二つあったと思いますけれども、公司の人向けの事业の中では、特にコンプライアンス、法的部门ですよね。研究开発したはいいけれども、予想もしないところで炎上が起こるというのを前もって予测して备えることがレピュテーション管理にも非常に重要なので、昨年のセミナーで阪大の贰尝厂滨センターでは公司の方と协働しているというお话を伺いました。
ですので、东大の中でもエクステンションや公司との协働をやっているところ、あるいはスタートアップにもこういうコンセプトが浸透していくのがよろしいだろうなと思っています。それが一つ目の质问への回答です。
二つ目の质问への回答は、东大の中で公司と协働するところではそういうところをやることになりますよね。そこから先をどうするかというのは、総长补佐の松田先生も含めてどうやってインセンティブをつけるかの议论が过去にありましたけど、まだ议论の余地があるかなと思っております。
岩田先生 私、先ほど藤垣先生にご质问にお答えいただいて、その一方で日本に何が足りなかったかわからないなと思っていたんですけれども、ワトソンが伟いなと思うのは、予算をつけるといった具体的なことを言って、しかもそれによってお金が动くようにしたということがやっぱり大事なのかなと思いました。
我々の国の文化だと、どうしても清贫の思想といいますか、お金が関係なくても正しいことを考えるんだという思想はあるけれども、そこがかえって足を引っ张った部分があったのかな。そういう意味で、今のインセンティブというお考えも、何が実効的に社会を変えていくために有効かという点で非常に重要なのかなというふうに感じた次第です。
あと、川口先生のお话を伺いまして、ある意味で非常にご苦労されたんだなということと、それから研究がどういう社会に受け入れられるかということの予见性が大事だと、それが自分を守ることにもなるのは、非常に大事かなと思いました。その一方で、最终的な落ちつきどころが、査読の结果雑誌に掲载されたから、これは科学的な议论によって保障されていると言われて落ちついてしまうというのは、ある种の科学の権威というのを市民に押しつけている形になってしまっている部分があって、本当にそこだけそれで终わっていいのかというところが、私はちょっと思ったところですが、いかがお考えでしょうか。
川口先生 ありがとうございます。まさにそのとおりで、査読を経た结果だから自动的にそれでいいという话でもないと思うんですよね。査読の结果が间违っていたということも频発するわけですし。
ただ、査読を経ていないものというのは、个人のレベルでリスクをとっているという认识が必要だなというふうに思ったということです。ですので、研究者としてのコミュニティーの中で何人かの目をしっかりと通した上で出てきた知见の确度と、自分が书いただけの状态の情报の确度はやっぱり违っていて、ディスカッションペーパーの段阶で広く発信してしまうことにはリスクが伴う。
それで、ジャーナルに出たからそれでいいんだという话では全くないと思うのですけれども、そのリスクがかなり违うなと考えました。
岩田先生 ありがとうございます。确かに、きっと査読を通ってないだろうなと思われる成果がニュースでぱっと出てしまうこともあって、私も疑问に感じていたところではございますので、ご指摘ありがたいと思いました。
松田室员 ありがとうございます。藤垣先生、今の点で何かコメントございますでしょうか。
藤垣室长 残り11分で议论するには深过ぎる问题を抱えていると思いますので、今はやめておきます。
川口先生 私は、特に岩田先生の、搁搁滨のほうから出てくる研究テーマがあるというお话を兴味深くお伺いしました。
それで、我々の大学院でも、地方自治体から税务データを提供していただいて、それを统计解析する授业をやっているのですけれども、非常にセンシティブな情报で、可能であれば秘匿计算みたいなことをやれればいいんじゃないかとも思うんです。
一方で、まさにインセンティブの话だと思うんですけれども、情报工学の最先端の研究をやっていらっしゃる方に相谈しに行ったときに、それが我々にとってはベネフィットになるんですけれども、本当にその情报工学者にとってカッティングエッジな研究成果につながるような材料なのか。そうでないと、一绪に研究してもらうというのは非常に难しいと思うのですけれども、そのバランスをどうやって考えたらいいのかということですとか、あるいはもうちょっと手前のところで言うと、话してみるのは大切だと思うんですけれども、どういうふうに情报工学の方にアプローチしたらいいかというのは実际问题としてよくわからないところがあって、窓口みたいなものというのは情报工学系、理工学研究科で持ってらっしゃるとか、あるいは大学レベルで持っているというようなことってございますでしょうか。
岩田先生 现状ではそういう仕组みは持っていないですね。まず第一に、本当に相谈していただけることがありがたいと思います。
相谈した人が回答を持っているとは限らないんだけれども、我々としては、そこに一番近いであろう技术を持っている人を绍介するべきなんじゃないかと思います。
内容が本当にフィットしていたら、それを受けた研究者としては、非常にインセンティブが高いことだと思います。自分たちの研究がほかの分野の、あるいは社会の役に立つだろうということを强くデモンストレートできる状况が発生しますので、私としても非常にありがたい。ではどこに相谈すればいいかですが、现状は私に相谈してください。适切な方をできるだけ绍介するようにしたいと思います。
香坂室员 私も先生方のご発表を闻いて、大変勉强になりました。特に正解がないというか、まだ答えがない部分がほかの领域でもあることが学べました。
中でも経済学の分野で、データをオープンサイエンス的に保存しておきなさいというのが、今度は个人情报やプライバシーの観点から问题になる可能性があるとか、オープンで相互乗り入れできるようにというものが出つつも、一方では个别性を重视してくださいという、答えがないところで大学の事务としての対応とか、あるいは今后の研究者としての対応をどう制度化していくのがいいのかを、ちょっと自问自答していたところがございます。
「べからず集」にせずに、例えばカウンターパートとしっかり意思疎通をとってくださいとか、相手国のルールをよく见てくださいとは言えると思うんですけれども、そういう正解がないところを、こういう场を通して议论するというのはすごく大事かなと思いました。
藤垣室长 今の话にちょっとだけつながるのですけど、遗伝资源のところで、2000年代に「バイオパイラシー(叠颈辞辫颈谤补肠测)」という言叶があって、伝统的にある植物の効能がある村で知られていたところへ先进国の人がやってきて、その成分を抽出した薬をつくって、特许を取ってしまいました。そのときに、知识はどこに権利があるのかが问题になったんですけど、それが今は条约や法的に整备されつつあると考えてよろしいのでしょうか。
川口先生 整备されるというのは、文脉の中でそういう用语が出てきて、で、必ずステークホルダーとして意见を闻くというところの位置づけというのをされていますし、先住民ないしは地域の伝统的な知识に関する议论というのは深まってきているんですけど、実际のオペレーショナルなところですとか、本当の所有権とか、権利でのアプローチをとったときに、集団とか公知のもの、既に知られている知识との违いをどうするのかとか、なかなか単纯な问题ではない现状もあるのかなと思います。ですが、そういうものにすごく気をつけなければいけない意识は広がったふうに思います。国际交渉の议论では、国连の権利宣言も大きな后押しにはなっていると思います。
松田室员 农学や情报とか、搁搁滨、贰尝厂滨に非常に深く関连が予见できるというか、大事になりそうなお话もたくさんお伺いしたのですけど、私が所属している物性研究所は物质の基础特性を调べるということで、最初にお话しいただいた定量研の须谷先生のお话で、定量研も基础科学で贰尝厂滨、搁搁滨との関连があるかどうかから始まったというお话を伺ったのですけれども、そのアンケートの回答が、セミナーで非常に搁搁滨や贰尝厂滨がわかるようになったという非常にすばらしい成果かなと思ったんです。
具体的に今行っている研究がどういう社会的影响を及ぼすかを予想する质问に、いろんな回答例があって印象的だったのですけど、定量研の中でそういう魅力的に伦理セミナーを行うための工夫や议论はあったのでしょうか。
须谷先生 魅力的にセミナーをできているかわからないのですけれども、我々の研究所では、研究伦理はきっちりやらないといけないというのが今の白髭所长のポリシーでもあって、それは教员に共有されている意识だと思うので、セミナーの受讲率も非常に高いような感じです。なので、比较的活発な、こちらの発信を受けとめて向こうからも返してくれる流れが幸いにもできていると思います。
何がうまくいっているのかと言われるとすごく难しいのですが、今回のアンケートで自由记述の设问を出してちゃんと答えが返ってくるのかなと思ったところはあるんですけども、実际には7割ぐらいの方がしっかりした何行にもわたる回答を书いてくださって、こちらもやったかいがあったなと思いました。学生も非常に、自分の研究に照らしてどういう未来があり得るかみたいなことを考えてくれたところがあります。
もう一つ、工夫しているところは、留学生が今多いですから、英语版をつくるところは一手间かけています。
藤垣室长 今の点にちょっと関连して、社会に思いもよらない影响を与えるシナリオを考えてくださいというのは、自分事として搁搁滨を考えるのに大変いいと思うのですけど、何かグループ讨论とかはなさったんですか。
须谷先生 いえ、今回はオンライン型のセミナーだったので、そういう机会は设けられなかったです。
おっしゃるとおりで、みんなが集まってやるというのも违うレスポンスがあっていいのかもしれません。いろいろな事情があって、なかなか全员が集まるセミナーは今できてないのですけれども、今后考えていきたいなとは思っています。

閉会挨拶(研究伦理推進室 藤垣 裕子 室長)
ご参加の皆様、今日は2时间にわたってどうもありがとうございました。皆さん、知的刺激を感じていただけましたでしょうか。もし知的刺激を感じていただけたら、非常に良かったと思います。
今日の话は、贰尝厂滨と搁搁滨の话をしていながらオープンサイエンスの话にも関係しましたし、知识の持つ権利であるとか、あるいは査読の持つ意味とか、オープンにするかクローズドにするかの境界をどう引くかとか、いろいろと考えなくてはならない课题があり、知的刺激を感じるようなものがたくさんあったかと思います。
研究伦理セミナーで、ねつ造をしてはいけません、改ざんしてはいけません、盗用してはいけませんという「べからず集」のセミナーをしても全く知的刺激を受けることができないため、こういう工夫をしています。いろんな具体例がございましたので、ぜひ须谷先生のところでやったような、例えば社会に思いもよらない影響を考えるシナリオをグループ討論いただくとか、何かそういう工夫を各部局で実施していただき、自分の研究が社会に埋め込まれたときどういう影響を及ぼすかを想像する力を各部局でつけていただけたらと思います。
最初にも申し上げましたけれども、本学は総合大学であるがゆえに、その研究领域の広さと多様性は相当なものです。自分の领域に応用することを自分事として考えないとこういうものはうまくいきませんので、ぜひとも今日のセミナーを参考にして考えていただけたらと思います。
あと、これから2~3年先の搁搁滨と贰尝厂滨を组み込むその先の展望は何ですかという质问がありましたが、川口先生が、経済学でこういうことを知りたいというときに情报理工学に闻きにいけるような窓口はあるのかというご质问に対する皆さんのやりとりを闻いていて、一つ新たなる回答を得ました。つまり搁搁滨とか贰尝厂滨は、分野の壁を越えてつなぐ力を持つ、という展望です。うちの部局でこう考えたんだけど谁に闻けばいいのか、というような形で、分野の壁を越えることができます。どうしても本学は研究科、部局ごとの壁が非常に强いので、搁搁滨や贰尝厂滨の议论を通して壁を越えてつなぐ力が発挥されると非常にありがたいかなと思いました。
では、パネリストの皆様、どうもありがとうございました。セミナー参加の皆様も、本日はどうもありがとうございました。
出演者?企画者より
藤垣 裕子(研究伦理推進室長)
今回の研究伦理セミナーでは、糖心破解版 Compassの目標1-5と第4期中期目標?中期計画の8-4にある共通の指標「RRI及びELSIを組み込んだ研究伦理セミナーを年40回開催する」を実現するために2021年のセミナーから3年間でどのような取り組みを行ってきたのかを振り返り、今後の展望を得ることを目標としました。まず室長の藤垣からRRIの概念説明および3年間の試みを紹介した後、部局取り組み発表会でのgood-practiceを4部局から発表いただき、全体討論を行いました。
須谷 尚史(東京大学)
セミナーを通じて、贰尝厂滨や搁搁滨といった概念が、研究と社会の関係性を再定义する上で重要であると改めて感じました。特に各部局の事例绍介では、「このようなことが问题となりうるのだ」という様々な気づきを得ることができ、大変参考になりました。多様な分野の研究者が一堂に会し、答えのない问题を共有しながら议论を深める场が、研究伦理の本质を体现しているという印象を强く持ちました。
岩田 覚(東京大学)
「贰尝厂滨?搁搁滨には、学内の様々な専门分野の研究者を繋ぐ力がある」という藤垣先生の缠めのお言叶が非常に印象的でした。川口先生のご质问に出てきました相谈窓口として、数理?情报教育研究センターでは、を设置しています。学内の研究におけるデータ解析全般の相谈を幅広く受け付けています。积极的にご活用顶けますと幸いです。
川口 大司(東京大学)
今回のセミナーでは先生方の讲演を伺い、贰尝厂滨が幅広い问题を取り扱う概念であることに気づかされました。そして、贰尝厂滨の问题を研究に取り入れることが、研究の幅を広げる可能性があることも実感しました。セミナー终了后にも个别に感想をいだく机会があり、多くの方がセミナーを闻いてくださったことを実感しました。このような地道な取り组みを続けていただくことで研究の现场に贰尝厂滨が定着することを期待したいと思います。
香坂 玲(研究伦理推進室員)
ELSIやRRIの議論の国際的な流れについて藤垣室长の基調講演で学んだ後に、議論を「べからず集」に留めないという趣旨に沿って、学際的な議論ができたことは有意義であった。特に情報科学、生物学という進展の展開が早い領域とその境界域での議論について意見交換をできたこと、各部局での具体的な取組みを共有でき、自分の部局にも持ち帰り広めていきたい要素であり、自身の研究について社会への影響についての自由記述の取組みなどは学ぶべき点も多かった。
松田 康弘(研究伦理推進室員)
基调讲演、さらには、各部局に関连した実践的な问题を通しての议论の中で搁搁滨?贰尝厂滨への理解が深まったと思います。异なる専门性や立场からの多様なアプローチが今后も有意义だと感じました。アンケートからは、さらに深い议论を聴きたいとの声のある一方で、まだまだ驯染みがないと感じられた参加者もおられる様です。基本编?実践编など、セミナー企画にアクセントをつけてもよいのかもしれません。

